企業に連絡する時のマナー

企業へ連絡する必要がある場合、まず一番に考えたいのは連絡方法です。企業担当者は多忙ですので、業務が阻害されることをもっとも嫌います。ゆえに担当者が忙しいときに連絡をしてしまうとマイナスポイントになりかねません。面接の日程変更のお願いでまだ面接日に余裕があるのならばメールにて連絡する方が望ましいです。電話ですとどうしても手を止めて話さなければなりませんし、メールでしたら細かい日程の希望も文面で伝えられるため、お互いの認識に齟齬も生じにくくなります。ただし、面接日の前日や当日の変更をお願いするのならば、メールではなく電話で連絡を行う必要があります。担当者がすぐメールを確認できる状況だとも限らないためです。

そしてこれも当然と言えば当然なのですが、電話連絡をする際は、相手が忙しい時間帯を避けることが大切です。一般企業ですと始業直後や昼休憩直後、夕方は忙しいことが多いので、その時間帯ははずして連絡をしましょう。ただし業種によってはこれが当てはまらないこともあります。飲食業界などはランチ前の11時からランチが終わる15時までが多忙、などというケースもありますので、希望企業が手すきになるであろう時間帯をよくよく研究してから連絡を取ることをお勧めします。

スマホの普及とともに実は意外とあったのが以下の会話です。

私「面接日程の変更ですね。では、〇〇さんの希望日時をお聞かせいただけますか？」

応募者「はい、あ、えーと、ちょっとお待ちください……（ゴソゴソ）…えーと、〇月〇日の〇時以降でしたら問題ありません」

スケジュールを確認した私に対して応募者が返答するのにやや時間がかかった、という上記のエピソードですが、おそらくこの応募者の方はスマホにてスケジュールを一括管理されていたのだと思います。それが問題だというわけではありませんが、面接の日程変更についての連絡の電話をかけておきながら、希望日程を即座に答えられないところに問題があると感じます。

ビジネスマナーの教本にも載っていますが、電話を掛ける前に用件をきちんとまとめておくのは社会人として必須のマナーだと言えます。面接の日程変更のお願いの電話ならば変更したい候補日を聞かれることも想定できるはずですので、企業に連絡を取る際は必ず要点をまとめてから連絡をするようにしましょう。

日程変更のお願い自体はよくありますし、面接官としても変更を希望されたからといって即マイナスに考えることはまずありません。礼を尽くして連絡さえしていれば、問題はないことです。ですが、これはちょっと・・・と感じるケースもあります。

たとえば、面接の希望日時をピンポイントで指定する、というのは面接官に良い印象を持たれない傾向があります。こちらにその気持ちがなくても「そこに合わせろということか」と悪いイメージを持たれてしまうことになりかねないからです。ですので、相手のことを考え、なるべく余裕のある複数の候補日を設定するようにしましょう。「〇月〇日は残念ながら難しいのですが、それ以降でしたらいつでも大丈夫です」などという具合に広く設定できるとベストかと思います。

またこちらの都合で面接日の変更のお願いをして応じていただけたのなら、変更後の面接には必ず行きましょう。日程変更自体が珍しくなくても何回も調整するのは担当者にとって負担になります。「変更していただいて申し訳ない」という気持ちで担当者の方と接することを忘れないようにしてくださいね。

前項でも申し上げましたが、面接の日時変更自体はやむを得ない事情があるのであれば仕方ないことだと思います。けれど、それを「当然」と思うのだけは絶対にＮＧです。ここまでお話させていただいた通り、面接担当者は多忙です。面接だけではなくその他もろもろの業務を抱えていらっしゃいます。そんな中、時間を割いて面接をしていただけていると思っていれば、おそらく私がお伝えしたマナーは自然とできるはずです。

自分に置き換えて考えたとき、せっかく決まっていた予定を変更されたことも面倒だな、と思うのに、連絡の仕方が要領を得ていなかったり、一方的だったりしたらやっぱり気分はよくありませんよね。そうならないように相手に気持ちよく思ってもらえるよう、礼を尽くすことが一番大切だと私は思います。そのために必要な準備や、言葉遣い、気遣いを意識できる応募書こそ、面接官が求める人材と言えるのではないでしょうか。